私たちの周りのギリシア・ローマ神話
神々の名前
太陽系の星々
- Mercury
- 水星―太陽の周りを僅か88日で一周することから、足に翼の生えた「神々の伝令役」マーキュリーの名が付いている。ギリシアではヘルメス。
- Venus
- 金星―惑星中で最も明るいこの星には、「美の女神」ヴィーナスの名が付いている。ギリシアではアフロディテ。
- Mars
- 火星―赤く見えることから「血」を連想させ、「戦の神」マルスの名が付いている。ギリシアではアレス。
- Jupiter
- 木星―最大の惑星であるこの星には、「神々の王」ジュピターの名が付いている。ギリシアではゼウス。
- Saturn
- 土星―環を伴ったこの星には「ゼウスの父」サターンの名が付いている。ギリシアではクロノス。
- Uranus
- 天王星―クロノスの父「天の神」ウーラノス。
- Neptune
- 海王星―「海の神」ネプトゥーノス。ギリシアではポセイドン。
- Pluto
- 冥王星―太陽系で最も小さく最も外側に位置するこの星には、「冥界の王」プルートーン(ハデスの別名)の名が付いている。
星座
- Andromeda
- エチオピアの王ケーペウスとカシオペアの子。母が彼女を女神より美しいと言ったため、海神ポセイドンの怒りをかいエチオピアは災難に見舞われた。王は娘を生け贄に捧げようと海辺の岩に鎖で縛った。これを英雄ペルセウスが救い、二人は結婚した。彼らの長男ペルセースはペルシア人の祖。
- Cassiopea
- アンドロメダの母。
- Centaurus
- 腰から上が人間、下が馬の怪物。テッサリアのペーリオン山に住む野蛮な種族。
- Hercules
- ヘーラクレースはギリシア神話最大の英雄。よって様々な英雄伝がある。父はゼウス、母は人間のアルクメーネー。ゼウスの后へーラーの嫉妬をかったが、策略により彼女の乳を飲み不死身になった。彼の子孫をヘーラクレイダイと呼ぶ。
- Hydra
- 沼に住む水蛇。ヘラクレスにより退治される。
- Orion
- 巨人の狩人。父はポセイドン。
- Pegasus
- ペルセウスが退治したメドゥーサの首から滴り落ちた血から生まれた翼を持った馬。ベレロポーンはこの馬の助けによって、キマイラやアマゾーン族と戦い勝った。ローマ時代にペーガソスは不死のシンボル。
- Perseus
- 雨に姿を変えたゼウスがダナエーに膝に触れ生まれた子。ゴルゴーンやメドゥーサを退治。
ローマ期の詩人オウィディウス
エレゲイア形式で恋愛詩を残したOvidiusが、叙事詩の形式であるヘクサメトロスで書いた彼の最大の作品が『変身物語』(Metamorphoses)である。
エレゲイアとは「長短短」のひとかたまりが六回続くヘクサメトロスと、五回続くペンタメトロスが、一行ずつ交互に続く韻律の形式を備えた詩形である。
morphe=姿をmeta=変えるという題名の付いたこの作品で、オウィディウスはローマ神話の集大成とも言える様々な「話」を語り聞かせてくれる。ここではそれらのうちのほんの少しを紹介する。
人間の誕生
イアペトスの子であるプロメテウスが、土に水を混ぜて、神々の姿に似せた。他の動物たちが目を地面に向けていたのに対して、人間は顔を上げて天をあおぐようにし、真っ直ぐ空を見るように命じた。
月桂樹になったDaphne
運動競技会の勝者は初め樫の木の葉で出来た冠を授けられていた。ピュティア競技会を始めたアポロンはクピード(キューピット=ギリシアのエロス、ウェヌス=アフロディーテーの息子)をからかったために、彼の矢に打たれ恋に落ちた。しかし相手のダプネはクピードによって恋を避ける矢を打たれていた。アポロンがいくら追いかけても彼女は逃げるばかりである。
ついに追い詰められた彼女は父である川の神ペネイオスに「私の美しい姿をなくして、別のものに変えて」と助けを求めた。すると彼女の髪は葉に、腕は枝に、足は根になったが、輝くばかりの美しさだけは元のままだった。しかしアポロンは木になった彼女に恋し続け、以来身を月桂樹で飾るようになった。
ナルキッソス
妖精レイリオペと川の神ケピソスの子、ナルキッソスは子供の頃から妖精たちにも愛されるほどの美少年だった。しかし思い上がった彼は誰の事も相手にしなかった。彼に無視された若者が復讐の女神にお祈りを捧げた。「彼も誰かに恋をしますように。そして恋する相手を自分のものに出来ませんように」
澄んだ泉で喉を潤そうとやって来た彼は、泉に映った自分の姿を見て自分に恋してしまった。しかし相手が手に入らずにいるうちに、自分を愛した事に気付いたが恋心は燃えるばかりである。恋にやつれ、ついには美しかった姿も衰えはて悲しみのうちに死んでしまう。その後には黄色い水仙の花(Narcissus)が咲いていた。
翼の折れたイカロス
ミノス王宮の「迷路」を作ったダイダロスはノコギリやコンパスも発明した匠であった。彼はクレタ島に飽きたが、王の監視があって脱出できないでいた。そこで彼は羽を集めて紐で縛り、蝋でくっ付けて翼を作った。息子のイカロスと共に飛び立った親子だったが、イカロスは高く飛び過ぎて太陽の熱で蝋を溶かしてしまった。羽はバラバラになってイカロスは海に落ち亡くなってしまった。
ヒュアキントス
スパルタのヒュアキントスはアポロンに愛された美少年であった。神と少年は服を脱ぎオリーブ油を体に塗って円盤投げに興じていた。アポロンの投げた円盤を拾いに行った少年は、大地に跳ね返った円盤に顔面を打たれ、血を流してうなだれる。滴り落ちた血で染まった草がユリのようだが赤い花を咲かせた。その花びらには「哀々(AiAi)」という文字が描かれているのは、アポロンの嘆きである。
参考文献
ヘシオドス『神統記』、『仕事と日』(岩波文庫)
『四つのギリシア神話』(岩波文庫)
ロンゴス『ダフニスとクロエー』(岩波文庫)
オウィディウス『変身物語』(上・下)(岩波文庫)
アポロドーロス『ギリシア神話』(岩波文庫)
以上は古典の作家による神話
ブルフィンチ、改訳『ギリシア神話』附印度・北欧神話(上・下、岩波文庫)
カール・ケレーニイ、『ギリシアの神話』(「神々の時代」、「英雄の時代」)(中公文庫)
以上は現代人が書きまとめた神話。
高津春繁、『ホメーロスの英雄叙事詩』(岩波新書、615)
久保正彰、『ギリシア思想の素地』(岩波新書、855)
中村善也、『ギリシア悲劇入門』(岩波、同時代ライブラリー、186)
『ギリシア神話と英米文化』(大修館書店)
高津春繁、『ギリシア・ローマ神話辞典』(岩波)
参考になりそう、かつ入手し易そうなものから、幾つか挙げてみました。