臓器移植を考えるために3

「死の定義の不確かさ」と我々のとる態度

ハンス・ヨナスは『死の定義と再定義』(Hans Jonas, "Against the Stream : Comments on the Definition and Redefinition of Death" in his Philosophical Essays. 1980)の中で、次のように語っています。

「我々は生と死の境界線を明確には知ってはいない。そして定義が知識の代役を果たす事は出来ない。人工的に支えられた昏睡している患者の状態は、たとえ減退したものではあるとしても、まだ生の一つの状態であろう」

「細かい点が分からず疑いが残っているこの状態において、我々が採用すべき方針は、生きている可能性の側にできるだけ加担することである。」

「侵害となる行為は、生体解剖と同様のものと見なされるべきであり、こうした行為は、そのようなどちらともいえない境界線的な状態にある人に対して、どのような理由があれ決してなされてはならない。そして、どう見ても曖昧でしかないことを、はっきりしている事だと決め付けて、そうした行為を許可するような定義は、拒否されねばならない」

「昏睡状態の人の肉体は、それがまだ(たとえ人工的な補助によってではあっても)呼吸や脈拍などの働きをしている限りは、なお、かつて愛したり愛されたりした主体の残存的継続であると見なされねばならない」

以上、日本語訳(『バイオエシックスの基礎』欧米の生命倫理論、加藤・飯田編、東海大学出版会)pp.232-233からの引用

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